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2010年8月28日 (土)

「海が泣いている」 太田裕美

…「恋愛(こい)」というものは、男女ともに「それぞれひとつずつ」存在するものだと思う。
どんなに仲良くいたとしても、二人の間には明確な「溝」が横たわる。
男には男の「こい」があり、女には女の「こい」があるのだ。

「海が泣いている」は、作曲を担当した「筒美京平」が絶句したという逸話を持つほどの「名作」だ。
その濃密で、強い心象性を持つ物語の展開は「歌詞」という世界を飛び越え、印象派の絵画か、もしくは旧い仏蘭西映画か、というような、内省性に彩られている。

主体として詞の中で語っているのは「女」。
彼女の想いが、詞の中の「ほぼ全て」なのだが、その「合いさ」には男の「仕草」が挟まれており、その結果として「海に来た二人」の行動が、我々にも通じるという仕組みになっている。


「プラトニック」という言葉は、得てして「純血宣言」などとも言われ、婚前の男女の交わりを否定するという「プラトニック・ラブ」と混在されがちだけど、もとよりは「精神的」というか、実体感は希薄だが、存在感そのものが希薄というわけではないものを指すための言葉だと思う。

そして、そういったことは日常的にも散見される。
「理屈」というものは、その最たるもので、実体は眼前にあるわけではないのに「説得性」というものは存在し、理屈で物事を動かすことさえ可能だ。
近年は「バーチャル」流行りで、最近は「3D映像」ブームだけど、こんなものは実は「理屈で構築された現象」に過ぎない。
「錯覚」を利用した、偽の映像に過ぎないわけだ。
また、より精神的にシフトした例では「二次元妻」などというものも、一部マニアの間では「生活の一部」として成り立っている。
アニメなどの「二次元世界の住人」と、ともに暮らすという意だが、こういったものは「プラトニック・ラブ」の極致と言えるかもしれない。
理想というものと「虚体」というものが合体した姿だ。
精神の世界だけで「交流」が行われ、肉体的な相互関係は全くないわけだから。
ある意味「神秘的な世界」とも言えるかもしれないが(汗)。

…ま、それはともかく。

閑話休題。
話を戻そう。

しかし、果たして「プラトニック」というものが「非現実的」というのは誤りであるということは理解していただけるだろうか。
男は特に「恋愛」というものの初期のこととして、様々な「理由」を元に「女性との肉体的接触」を固く禁じるところがある。
それは時に、友人との義理であったり、過去の恋人に対する後ろめたさだったりするが、ともあれ「そういったこと」は、おとこには「ありがちな」出来事だと思う。

男というのは、それが恋愛という人の本質的な行動であれ、その中に「理屈」を持ち込むことが出来るのだ。
だから「理屈」でひとり勝手に納得し、自分の欲望を諌めることが出来る。
しかしそれは、恋愛というものが「繁殖行動」の一環である、という「大前提」から比べれば、小さな「理由」でしか無いのも事実だ。
男は同時に「そのこと」の重大さというものもよく熟知している。
「海が泣いている」は、正しく「男と女の違い」で揺れ惑う恋愛模様を描いている点で秀眉と言ってもいい。

そして、この作品で、男として「胸にせまる」ところがあるのは、詩中の女性の「我慢」のいとおしさにある。
女性は「わかったうえで」男性の「プラトニック」を耐えている。
そして、それを許そうとする。

「答え」は既出なのだ。
わかりきっている「答え」を女性は持っているのに関わらず、男の内心を察しながら耐えている。
…ある意味、こういった女性は「理想像」に過ぎないのかもしれないが、この「二人」の風景を見ると「優しさ」という言葉で胸がいっぱいになってしまうのは何故だろうか?。

「プラトニック・ラブ」というものを、完全に昇華させようとするならばこういった歌になる、という代表的な作品だと言っても過言でも何でも無いだろう。
この歌を聞いてから、プラトニック・ラブというものを語って欲しい。
闇雲に否定することは、人として恥ずべきことだということを、この歌も語っている。


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