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2010年8月13日 (金)

「君は天然色」 大滝詠一

「…なぜこうも「はっぴいえんど」というのは」…などとボヤき混じりで、感じ入ってしまうのは、その「巨大な才能」故に他ならない。

細野晴臣、大滝詠一、松本隆、鈴木茂、というメンバーは「この人達抜きで、今の音楽シーンは考えられない」という巨人ばかりだ。
「はっぴいえんど」は「日本語をロックに乗せる」という、当時としては画期的なチャレンジを行って来たバンドだが、それには松本隆の「リズムに則った詞」というものが、大きく貢献している気がする。
空いろのくれよん はっぴいえんど 歌詞情報 - goo 音楽

通常、詞というのは「メロディー」に則って書かれるもので、それゆえに聞いていても違和感がない。

「な~ぎさに~し・ろ・いぱ~らそる~」
松田聖子の「白いパラソル」の一文だが、このメロディーはゆったりとした「スラー」の部分と「スタッカート」の部分を織り交ぜることで、広い情景と、その中で遊ぶ若人のイメージを出そうとする意図を感じるが、それに合わせるように「スラー」の部分を「なぎさ」、「スタッカート」のところを「白い」という形容詞を使うことで表現している。
とても「わかりやすく」情景を嫌でも想起させる作りになっている。

これに反して「はっぴいえんど」の時の詞作りは「リズムに乗せた詞作り」で、詞は「刻まれることを覚悟の上で」曲に乗せられている。
変な例えだが「白いパラソル」をロック調のリズムに乗せたら、きっと何を言っているのかわからなくなってしまうだろう。
曲と詞が「補完関係」にあるのが歌謡曲ならば、「はっぴいえんど」のそれは「抗争関係」であり、サバイバル・ゲームなのである。

それから時代は下って「はっぴいえんど」は解散し「日本語ロック」は「試み」としては成功したと思うが、完全な形での実現と普及は成されなかったようだ。
実際、現在のポップシーンを見る限りでは、英語と日本語のコンビネーションで、足りない隙間を補間するという「ハイブリッド」な手法が多く使われている。
さもなければラップのように「文体として成り立たない」けれど、日本語の(単語の)意味そのものに頼っての詞作りになっているだけだろう。


さて、大幅に回り道をしたが、本題に入りたい。

「君は天然色」
君は天然色 大滝詠一 歌詞情報 - goo 音楽

は、私が初めて出会った「大瀧サウンド」ということになる。
南国を思わせるような、豊穣でグルービーなアレンジが、今までの曲とは明らかに一線を画していると感じた。
それに乗せられた詞は、むしろしっとりとした、きめこまやかな「男の子のナイーブさ」で染まっており、ある意味での「カルチャーショック」を受けた曲だった。
…確か「わたせせいぞう」のイラストが、ちらほらと雑誌等の媒体に載り始めたのもこの頃だったか?。
「優しい男」というものが、世間的に認知されるようになった最初の頃のことだ。

ポラロイドで撮られた、正方形の小さな写真を見ながら、別れた少女の思い出を追う男、などというのは、一昔前ならば「女の腐ったやつ(…どんなんじゃそれ?とも思うけど)」なんて言われたんだろうけど、時代はもうすっかり「優しさ世代」にシフトしていたのだ。
女性は自我を強く持つようになり、男性は優しくあろうと腐心する。
現在の傾向は、もうこの時には始まっていたということになるか。

時代そのものも、このころは明るかった。
人が「明るさ」というものに飢えていた時代であり、望んでいた時代であった。

現在、我々は再びあの時代を望んでいるようにも思える。
今の時代が「モノクローム」の風が吹く街ならば、リゾートに居を構え、天然色の世界の中で暮らしたい、と。
…しかし、それは多分、きっともう叶わない「Over dream」なのだろう。
我々は新しい時代を作っていかなきゃいけない段階まで追い詰められている。
…ポラロイド写真にネガフィルムがないように、思い出の「焼きまし」は出来ないのだ、ということを噛みしめたいものだ。

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