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2010年8月11日 (水)

「花一色~野菊のささやき~」 松田聖子 

この曲は「白いパラソル」のB面であり、映画「野菊の墓」のテーマ曲にもなっている曲だ。
花一色~野菊のささやき~ 松田聖子 歌詞情報 - goo 音楽

作曲は「チューリップ」の財津和夫。
しんみりとして、淡々とした曲に、松本にしては珍しい「五七五」の古典的な詞が乗せられている。

「You Tube」などで確認すると、ノスタルジックな曲には不似合いな「聖子ちゃんカット」がなんとも奇異だったりするのだが、それよりもっと驚かされるのは、彼女の「歌唱力の高さ」である。

松田聖子という人は「アイドル」であるから、CDなどでこの曲を聞くと、時に声を裏返してみたりして「いらぬ抑揚」を付加してしまうことがある。
それはそのほうが「アイドルらしさを感じる」という、作り手側の策なのであろう。
特に初期の彼女の歌には、こういった場面が多かった。
しかし、テレビなどで生歌を歌っている時の彼女は、そういった「愚策」をしない。
まっとうに歌い、歌いきっているのが印象的だ。

彼女の声は、どちらかというと低音寄りのパートにシフトしている。
まぁ、最低音域はさすがに苦しそうだが
(sweet memoriesの出だしなどがいい例だ)
中音域の伸びやかさは、出色と言ってもいいだろう。
この歌は「彼女の歌のいいところ」を、よく出しているという意味では「名曲」といっても差し支え無いだろう。


「…人の夢とペンで書けば 儚いって読むのですね」

以前に「にんべんのある倖せ」という文字を使った歌詞(九月の雨)のことを書いたが、ここではむしろそれを「説明的に」詞に混ぜることで、一文字の「意味合い」を強調している。
しかもただ「人の夢と書けば」とせず「ペンで書けば」と付加しているのが、松本流の「レトロジー」であり「詞のタイムマシーン」たるところであろう。
毛筆では江戸時代だし、万年筆ではくどすぎる。
単純に「ペン」(PEN)としたところが、ワードライターとしての凄さであり、リリカルを良く知っている人間の凄さである。

この詞は基本的に劇中歌であり、それゆえに伊藤左千夫の「野菊の墓」の世界観を壊すことができない、という宿命がある。
そういった意味ではかなりの制約を感じさせるところがあって、松本隆のテクニックを存分に振るっているとは言えないが、逆に「たった数行の言葉の列」で、歌の中の「主人公」の気持ちを描き出してしまう仕事は偉大と言っていいだろう。

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